作曲と編曲はどっちが大変?違いと自分に合う練習の考え方

作曲と編曲はどちらも音楽づくりに欠かせない作業ですが、大変さの種類がかなり違います。メロディを生み出す苦しさと、楽器構成やコード、リズム、音色まで整える苦しさを同じものとして比べると、自分に必要な練習を見誤りやすくなります。この記事では、作曲と編曲の違いを整理しながら、自分にとってどちらが大変になりやすいかを判断できるように解説します。

目次

作曲と編曲はどっちが大変か

作曲と編曲のどちらが大変かは、音楽経験や得意分野によって変わります。ただし、初心者がつまずきやすい範囲で見ると、最初は作曲のほうが大変に感じやすく、曲を形にして人に聴かせる段階では編曲のほうが大変になりやすいです。作曲は「何もない状態からメロディやコード進行を作る作業」で、編曲は「できた曲をどんなサウンドで聴かせるかを整える作業」です。

たとえば、鼻歌でサビのメロディを作るだけなら作曲は比較的始めやすいです。しかし、Aメロ、Bメロ、サビを自然につなげ、キーやコード進行を考え、歌いやすい音域に収めるとなると難しくなります。一方で編曲は、ドラム、ベース、ギター、ピアノ、ストリングス、シンセなどをどのように配置するかを考えるため、曲全体を支える知識と判断が必要です。

つまり、作曲は「曲の核を作る大変さ」、編曲は「曲を完成度の高い音源にする大変さ」があります。どちらが上というより、悩む場所が違うと考えるほうが自然です。メロディが浮かばない人には作曲が重く感じられ、楽器の重ね方や音の整理が苦手な人には編曲が重く感じられます。

比較項目作曲で大変なこと編曲で大変なこと
最初の壁メロディやコード進行が浮かばない何の楽器を入れればよいか分からない
必要な感覚歌いやすさ、印象に残る流れ、曲の展開音色、リズム、低音、隙間、盛り上げ方
完成までの負担曲の骨組みを最後まで作る負担聴ける音源に仕上げる負担
初心者のつまずき似たようなメロディになる音を重ねすぎてごちゃごちゃする

このように、作曲と編曲は作業の位置が違います。作曲だけでも曲は生まれますが、編曲が弱いと平面的に聴こえやすくなります。反対に、編曲が上手でも元のメロディやコード進行が弱いと、印象に残りにくい曲になります。そのため、どちらが大変かを考えるよりも、今の自分が「曲の核」で止まっているのか、「仕上げ」で止まっているのかを見分けることが大切です。

作曲と編曲の役割の違い

作曲は曲の芯を作る作業

作曲は、曲の中心になるメロディ、コード進行、曲の構成を作る作業です。歌ものなら、歌メロがもっとも大きな要素になります。サビでどの音に向かうか、Aメロを低めに始めるか、Bメロで少し緊張感を出すかなど、聴く人が曲を覚えるための骨組みを作ります。楽器曲の場合も、主旋律やテーマ、コードの流れが曲の印象を決めます。

作曲が大変なのは、正解が一つではないからです。C、G、Am、Fのようなよく使われるコード進行でも、メロディの動きやリズムが変わればまったく違う曲になります。逆に、コードを複雑にしても、歌いにくかったり印象に残らなかったりすれば、曲としては扱いづらくなります。作曲では知識よりも先に、聴いて自然か、歌って気持ちよいか、展開に無理がないかを判断する力が求められます。

初心者の場合、作曲の大変さは「ゼロから考えなければいけない」と思い込むことで大きくなります。実際には、好きな曲の構成を参考にしたり、よくあるコード進行の上でメロディを作ったりしても構いません。大切なのは、丸ごとまねることではなく、サビ前で盛り上げる、Aメロは言葉数を少なくする、サビは音域を少し上げるなど、曲が成り立つ仕組みを学ぶことです。

編曲は曲の見せ方を作る作業

編曲は、作曲でできたメロディやコードをもとに、どんな楽器で、どんな雰囲気に仕上げるかを決める作業です。ピアノ弾き語り風にするのか、バンドサウンドにするのか、EDM風にするのか、アコースティックな雰囲気にするのかで、同じメロディでも印象は大きく変わります。ドラムのビート、ベースライン、ギターの刻み、ピアノの伴奏、シンセのパッドなどを組み合わせ、曲の世界観を作っていきます。

編曲が大変なのは、判断する要素が多いからです。ドラムを入れるだけでも、8ビートにするか、16ビートにするか、キックをどこに置くか、ハイハットを細かく刻むかで雰囲気が変わります。ベースはルート音を中心に支えるのか、動きのあるラインにするのかを考える必要があります。さらに、ボーカルを邪魔しない音域、サビで音が広がる感覚、イントロや間奏の作り方も意識しなければなりません。

編曲では、音を足す力だけでなく、引く力も重要です。初心者はすべてのパートを鳴らしたくなりがちですが、常にドラム、ベース、ギター、ピアノ、ストリングス、シンセを鳴らすと、歌やメロディの居場所がなくなります。Aメロは少なく、Bメロで少し増やし、サビで広げるなど、曲の流れに合わせて音の量を調整することが編曲の大きな役割です。

大変さが変わる判断基準

メロディが浮かぶかで変わる

メロディが自然に浮かぶ人にとって、作曲は楽しい作業になりやすいです。鼻歌、口ずさみ、ギターやピアノでの簡単なフレーズから曲を広げられるため、最初の一歩で止まりにくいからです。ただし、浮かんだメロディを一曲分の構成にまとめるには別の力が必要です。サビだけは作れるけれど、AメロやBメロが作れないという悩みはよくあります。

反対に、メロディがなかなか浮かばない人は、作曲そのものを重く感じやすいです。何を作っても既存曲に似ている気がしたり、数小節で止まったりすると、自分には才能がないと感じてしまうこともあります。しかし、これは才能だけの問題ではありません。コード進行を先に決める、リズムだけ先に作る、歌詞の語感から音を当てるなど、入り口を変えることで作りやすくなる場合があります。

作曲が苦手かどうかを判断するときは、いきなり完成曲を目指さないことが大切です。まずは8小節のサビだけ、または短いテーマだけを作ってみると、自分がどこで止まるのかが分かります。メロディの最初が出ないのか、続きが作れないのか、コードに合わせられないのかで、練習すべき内容は変わります。

楽器やDAW経験で変わる

編曲の大変さは、楽器やDAWの経験によって大きく変わります。ギターやピアノで伴奏したことがある人は、コードの響きやリズムの作り方を体で理解しているため、簡単な編曲に入りやすいです。バンド経験がある人なら、ドラム、ベース、ギター、ボーカルがどのように役割分担しているかをイメージしやすくなります。

一方で、楽器経験が少ない状態でDAWを開くと、編曲はかなり広く感じます。音源、MIDI、オーディオ、トラック、ミックス、パン、EQなど、曲作り以外の言葉も出てくるからです。メロディはできているのに、どの音色を選ぶか分からない、ドラムパターンが単調になる、ベースを入れると濁るといった悩みが起きやすくなります。

この場合は、いきなり本格的なアレンジを目指すより、少ない編成で考えるほうが失敗しにくいです。最初はボーカル、ピアノ、ベース、簡単なドラムだけでも十分です。そこからサビだけギターを足す、間奏だけシンセを入れるなど、役割を決めて少しずつ音を増やすと、編曲の大変さを整理しやすくなります。

自分の状態大変になりやすい作業先に練習したいこと
鼻歌は出るが伴奏が分からない編曲基本コード、ピアノ伴奏、ベースのルート音
コードは弾けるがメロディが出ない作曲短いメロディ作り、歌詞の語感、リズムの変化
DAW操作で止まる編曲トラック作成、音源選び、ドラム打ち込み
サビだけ作れる作曲Aメロ、Bメロ、曲構成、展開の作り方
音を重ねると濁る編曲音域整理、パートの引き算、低音の扱い

初心者が迷いやすい使い分け

まず作曲で曲の骨組みを作る

初心者が一曲を作りたいなら、最初は作曲の骨組みを小さく作ることから始めるのがおすすめです。いきなりフルコーラスの完成音源を目指すと、メロディ、コード、歌詞、ドラム、ベース、ミックスまで一度に考えることになり、途中で止まりやすくなります。まずはワンコーラスだけでもよいので、Aメロ、Bメロ、サビの流れを決めると、次に何を編曲すればよいかが見えます。

作曲の骨組みでは、音数を増やす必要はありません。ピアノのコードだけ、ギターの弾き語りだけ、またはメロディと簡単なコード進行だけで十分です。この段階で確認したいのは、サビに向かう流れが自然か、メロディが歌いにくくないか、同じ音の繰り返しが多すぎないかです。音源の豪華さより、曲として伝わる芯があるかを優先します。

特に歌ものでは、ボーカルの音域を早めに確認しておくと後で直しやすくなります。サビが高すぎると歌えず、Aメロが低すぎると言葉が聞き取りにくくなることがあります。キーを変えるだけで解決する場合もありますが、メロディの山を作り直したほうが自然なこともあります。編曲に入る前に、曲の骨組みが無理なく歌えるかを確認しておくと、後半の作業が楽になります。

編曲は方向性を決めてから足す

編曲に入るときは、最初にジャンルや方向性を決めることが大切です。バンド風、ピアノバラード風、シティポップ風、ロック風、EDM風など、目指す雰囲気が曖昧なまま音を足すと、パート同士の役割がぶつかりやすくなります。たとえばロック風にしたいなら、ドラムの力強さ、ベースの低音、ギターの刻みを中心に考えます。バラード風なら、ピアノやストリングスで余白を作るほうが自然です。

編曲では、すべての楽器に主役をさせないことが重要です。歌がある曲なら、基本的にはボーカルが主役です。ギターのフレーズやピアノの動きが目立ちすぎると、歌詞やメロディが聞こえにくくなります。イントロや間奏では楽器を目立たせてもよいですが、歌が入ったら少し引くなど、場面ごとの役割を変えるとまとまりやすくなります。

また、編曲は一度で完成させようとしないほうがよいです。最初にドラムとベースで土台を作り、次にコード楽器を入れ、最後に飾りのフレーズや効果音を足すと判断しやすくなります。音を足したあとに、邪魔な音を消す作業も必要です。曲が弱く感じるから足すのではなく、どの場面を盛り上げたいのかを決めて足すことが、失敗しにくい編曲につながります。

作曲と編曲で失敗しやすい点

作曲でよくある失敗

作曲でよくある失敗は、メロディを作る前から難しいコード進行や理論にこだわりすぎることです。テンションコード、転調、借用和音などを使えばおしゃれに聴こえる場合もありますが、メロディが不自然だと曲全体は伝わりにくくなります。初心者のうちは、C、G、Am、Fのようなシンプルな進行でも、リズムや音の上がり下がりを工夫するほうが曲らしくなります。

もう一つの失敗は、サビだけで満足してしまうことです。サビは印象に残りやすい部分ですが、AメロやBメロがあるからサビが引き立ちます。最初から全パートを派手にすると、サビに入っても変化が少なくなります。Aメロは落ち着いた音域、Bメロは少し緊張感、サビは広がる感じというように、役割を分けると曲の流れが作りやすくなります。

また、既存曲に似ることを恐れすぎるのも作曲の手を止める原因になります。音楽にはよく使われるコード進行やリズムがあります。完全に新しいものだけを作ろうとすると、かえって不自然になりやすいです。似ていると感じたときは、メロディのリズム、歌詞の区切り、コードの切り替え位置、テンポを変えてみると、自分の曲として整理しやすくなります。

編曲でよくある失敗

編曲でよくある失敗は、音を足しすぎることです。DAWには多くの音源やエフェクトがあるため、ストリングス、シンセ、パーカッション、ギター、コーラスを次々に入れたくなります。しかし、音が増えるほど豪華になるとは限りません。低音がぶつかったり、中音域が混雑したりすると、ボーカルやメロディが聞こえにくくなります。

特に注意したいのは、ベースとキック、ピアノの左手、低いシンセが同じ場所に集まることです。低音が重なると、音源全体がぼやけやすくなります。ベースは曲の土台として大切ですが、動かしすぎるとコード感が分かりにくくなることもあります。まずはルート音中心で支え、必要な場所だけ動きを加えると安定します。

もう一つの失敗は、曲の展開に合わせた変化が少ないことです。Aメロもサビも同じドラムパターン、同じコードの刻み、同じ音量で進むと、曲が平坦に聞こえます。Aメロではハイハットを軽くする、Bメロでスネアの入り方を変える、サビでクラッシュシンバルやコーラスを足すなど、小さな変化でも印象は変わります。編曲は派手な音を入れるだけでなく、曲の場面を分かりやすくする作業でもあります。

自分に合う進め方を選ぶ

作曲と編曲のどちらが大変かを判断するには、まず自分がどこで止まるかを見てください。メロディやコードが出ないなら作曲の練習が必要です。曲の骨組みはあるのに、音源にすると物足りない、楽器を入れると濁る、サビが盛り上がらないなら編曲の練習が必要です。大切なのは、作曲と編曲を一度に完璧にしようとしないことです。

最初の一曲では、完成度よりも最後まで形にすることを優先したほうが成長しやすいです。ワンコーラスだけでも構いません。メロディ、コード、簡単な伴奏、ドラム、ベースまで入れて、一度音源として聴ける状態にすると、自分の弱点がはっきりします。途中で細かく直し続けるより、最後まで作ってから見直すほうが、作曲と編曲の違いも体感しやすくなります。

進め方としては、まず短いメロディとコードを作り、次にピアノかギターで伴奏し、最後にドラムとベースを足す流れが分かりやすいです。慣れてきたら、イントロ、間奏、アウトロ、サビ前の盛り上げ、楽器の抜き差しを加えていきます。作曲が苦手な人は既存曲の構成を分析し、編曲が苦手な人は好きな曲のドラム、ベース、コード楽器の役割を聴き分けると練習になります。

作曲と編曲は、比べて優劣を決めるものではなく、曲作りの中で支え合う作業です。メロディを作る力があれば曲の個性が生まれ、編曲する力があればその個性を聴きやすく届けられます。今の自分にとって大変なほうを見つけたら、そこだけを責めるのではなく、小さな練習に分けて取り組んでください。短い曲を作り、少ない楽器で編曲し、聴き返して直す。この流れを繰り返すことで、作曲と編曲のどちらも少しずつ扱いやすくなります。

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この記事を書いた人

バンドや音楽活動が、日常を少し楽しくしてくれる存在だと思っています。
ジャンルや楽器、活動の仕方を眺めているだけでも、世界が広がる感じが好きです。
このブログでは、音楽を始めたい人向けに、選び方や考え方を分かりやすくまとめています。ステージに立つ日も、部屋で音を鳴らす時間も、どちらも楽しい未来になりそうですね。

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