作詞と作曲はどっちが先に始めるべき?目的別・人数別・時間別の選び方を解説

曲作りを始めたいけれど「歌詞から作るのか、曲から作るのか」と悩む方は非常に多いです。どちらが正しいという決まりはありませんが、順番によって完成する曲の雰囲気や制作の難易度は大きく変わります。今回は、それぞれのメリットを整理し、自分にぴったりの作曲順を見つけるお手伝いをします。

目次

作詞と作曲はどっちが先に始めるべきか

作詞から始める「詞先(しせん)」と、作曲から始める「曲先(きょくせん)」は、クリエイターにとって永遠のテーマです。どちらが先であるべきかは、あなたが最終的にどんな曲を作りたいのか、あるいはどのような環境で制作しているのかによって決まります。まずは、それぞれの判断基準を詳しく見ていきましょう。

制作目的による選び方

あなたが「伝えたいメッセージ」を最優先したいのであれば、詞先から始めるのがおすすめです。物語性が強いバラードや、特定の誰かに向けたメッセージソングなどは、先に言葉を固めることで、その感情に最も適したメロディを後から探り当てることができます。言葉の持つ力強いリズムやイントロのニュアンスが、曲全体の感動を引き立ててくれます。

一方で、「聴いた瞬間に体が動くようなノリ」や「キャッチーなメロディ」を重視したい場合は、曲先が向いています。ダンスミュージックや明るいポップスなど、サウンドの心地よさが重要なジャンルでは、先にコード進行やビートを作ることで、音楽的なクオリティを担保しやすくなります。メロディの良さを活かすために、後から言葉を当てはめていく方が、ヒット曲のような構成になりやすいのが特徴です。

ジャンル別の傾向

音楽ジャンルによっても、一般的な制作順序には傾向があります。例えばフォークや歌謡曲、一部のロックなど「歌」が中心のジャンルでは、詞先で言葉のニュアンスを大切にすることが多いです。言葉の抑揚がそのままメロディの起伏に繋がるため、聴き手に歌詞が届きやすくなるメリットがあります。

対照的に、最新のJ-POPや洋楽、ヒップホップなどのジャンルでは曲先(またはトラック先行)が主流です。特に複雑なリズムや洗練されたコード進行を多用する場合、先に歌詞があると音の自由度が制限されてしまうことがあるからです。かっこいいトラックを先に作り、そこに「はまる」言葉を選んでいくことで、現代的なサウンドに仕上げることができます。

制作人数別の進め方

一人ですべてを完結させる場合は、その日の気分やインスピレーションに合わせて自由に選んで構いません。しかし、バンドやユニットなど複数人で制作する場合は、役割分担によって順番が決まることが一般的です。例えば「作詞担当」と「作曲担当」が分かれている場合、詞先であれば歌詞を読んでイメージを膨らませる時間が生まれ、曲先であればメロディに対して言葉を公募するような形になります。

共同制作において曲先が選ばれやすい理由は、イメージの共有がしやすいためです。メロディやデモ音源が先にあることで、メンバー全員が「どんな雰囲気の曲か」を具体的に把握でき、作詞側もその世界観に合わせた言葉を選びやすくなります。チームでの合意形成をスムーズにしたいなら、まずは断片的なメロディから提示するのが効率的です。

完成までの時間による判断軸

制作にかける時間という視点で見ると、一般的には曲先の方がスピーディーに進むと言われています。理由として、音楽の骨組み(コードやリズム)が先に決まっていると、パズルのピースを埋めるように言葉を選んでいけるため、全体の構成に迷う時間が少なくて済むからです。締め切りがある場合や、短期間に多くの曲を作りたい場合には、曲先が強力な味方になります。

詞先の場合は、言葉の一つひとつに魂を込める作業になるため、納得のいくフレーズができるまで時間がかかることがあります。しかし、その分だけ唯一無二の深い世界観を持つ名曲が生まれる可能性を秘めています。「じっくりと芸術作品として仕上げたい」のか「効率よくアウトプットを増やしたい」のか、自分の活動ペースに合わせて選んでみてください。

スキルレベル別の選択基準

初心者の方にとって、どちらが「楽」に感じられるかは、これまでの経験に依存します。楽器を演奏したことがない方や、読書が好きな方は、詞先の方が入りやすいでしょう。普段使っている言葉を並べるだけで制作がスタートできるからです。逆に、ギターやピアノを少しでも弾ける方は、曲先の方が圧倒的にスムーズです。指を動かして鳴った心地よい響きから、自然とメロディが湧いてくるためです。

スキルが上がってくると、両方の手法を使い分けられるようになります。「今回は歌詞のコンセプトが強いから詞先で」「今回はリズムを重視したいから曲先で」といった柔軟な対応が可能になります。最初は自分が最もストレスを感じない方法から始めて、一曲を完成させる喜びを味わうことが上達への近道です。

短期試作での検証方法

どちらが良いか決められない時は、「短期試作(ラフ制作)」で両方を試してみるのが一番です。例えば、15分という短い制限時間を設けて、Aメロのワンフレーズだけを作ってみます。一回は適当な歌詞を書いてから鼻歌をつけてみる(詞先)、もう一回は適当にハミングしてから言葉を当ててみる(曲先)という具合です。

この検証を行うと、自分の脳が「言葉から音をイメージするタイプ」か「音から言葉を引き出すタイプ」かがはっきりと分かります。まずは1コーラス作ろうと意気込まず、サビの数秒間だけをこの2パターンで作り比べてみてください。自分に合った「勝ちパターン」を見つけることが、モチベーションを維持するコツです。

詞先と曲先でどう曲作りが変わるか

順番が変わるだけで、完成した曲の「手触り」は驚くほど変化します。メロディの動きや歌詞の響き、さらには聴き手が受け取る印象まで変わるため、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。

メロディ変更の頻度

詞先の場合、歌詞に込められた意味や文字数に縛られるため、メロディを後から調整する頻度が高くなります。言葉のアクセントを無視して無理なメロディをつけると「聞き取りにくい歌」になってしまうため、歌詞を優先して音を削ったり増やしたりする作業が発生します。結果として、起伏に富んだ個性的なメロディになりやすい傾向があります。

曲先では、すでに「最高だ」と思えるメロディができあがっているため、メロディそのものを変更することは少なくなります。その代わり、メロディの音数(シラブル)にぴったり合う言葉を探すのに苦労することがあります。メロディの美しさを保つために、本来伝えたかった言葉を別の表現に言い換えるなどの工夫が必要になります。

歌詞の語感と韻合わせ

曲先で制作すると、メロディの「音」が持つ響きに導かれて言葉を選ぶため、非常に語感が良い歌詞になりやすいです。「この高い音には『あ』の母音を持ってきたい」といった感覚的な選択ができるため、聴き心地の良さが際立ちます。ラップやノリの良い曲を作りたい時には、この曲先のメリットが大きく活きてきます。

一方で詞先は、語感よりも「意味」が先行するため、文学的で深い内容になりやすい反面、メロディに乗せた時に歌いにくさを感じることがあります。しかし、その歌いにくさが逆にフックとなって、聴き手の耳に残ることもあります。どちらのバランスを重視するかによって、制作のスタイルを使い分けるのがプロのテクニックです。

コード選択への影響

曲先では、コード進行からメロディを導き出すことが多いため、音楽的に破綻のない、綺麗にまとまった曲になりやすいです。コードの響きが先に感情を方向付けてくれるので、メロディ作りもスムーズに進みます。王道の進行を使えば、誰にでも受け入れられやすい「名曲感」を出しやすくなります。

詞先でメロディを先に作った場合、そのメロディに対して後からコードを当てはめていきます(リハーモナイズ)。すると、既存のパターンに囚われない意外性のあるコード進行が生まれることがあります。予定調和ではない、ハッとするような転換を求めるなら、詞先で生まれた自由なメロディにコードを肉付けしていく方法が適しています。

アレンジとの整合性

曲先(特にトラック先行)の場合、制作の初期段階でドラムやベースの質感が決まっているため、アレンジの着地点が見えやすくなります。アレンジと曲作りが同時進行で行われるため、最終的なサウンドのクオリティが高まりやすいのが利点です。

詞先では、歌のメロディが完成してからアレンジを考えるため、編曲の自由度が非常に高いです。一つのメロディに対して、バラードにもロックにもアレンジできるため、制作の後半で大きな方向転換をすることも可能です。その分、どのようなサウンドにするか迷いやすいという側面もあるため、早い段階で「この曲はこんなジャンルにする」というイメージを持っておくことが大切です。

表現の幅

詞先は「表現したいこと」という内面的な出発点があるため、独創的な表現や、型にはまらない構成が生まれやすいです。あなたのパーソナリティが色濃く反映された曲を作りたい時に威力を発揮します。

曲先は、世の中の音楽の仕組みやトレンドを反映しやすいため、多くの人に共感される「ポピュラリティ(大衆性)」を得やすいのが強みです。自分の感情を爆発させるというよりは、音楽というエンターテインメントを構築するような感覚で制作を楽しめます。表現の深さを取るか、広さを取るかという選択とも言えるでしょう。

役割分担の違い

詞先では作詞家がリーダーシップを握り、曲先では作曲家が主導権を持つことになります。共作の場合、どちらが先にボールを投げるかで、お互いのクリエイティビティの引き出され方が変わります。

作詞作曲のサポートツール例

ツール名用途特徴公式サイト
U-FRETコード確認既存曲のコード進行を学び、作曲の参考にする。U-FRET
GarageBand作曲・録音初心者でも直感的にトラック制作ができる。Apple (GarageBand)
類語辞典作詞サポート同じ意味の違う言葉を探し、語感の調整に役立てる。Weblio 類語辞典

すぐ試せる作詞作曲の進め方

理屈が分かったところで、具体的なステップを学んでいきましょう。どのような順番で進めるにせよ、まずは「完成させること」が大切です。挫折せずに最後までたどり着くための具体的な手順を解説します。

曲先でのメロディ作成手順

曲先で始めるなら、まずは4小節程度のループするコード進行を決めましょう。難しいコードを使う必要はありません。ギターやピアノでC→G→Am→Fのような王道進行を鳴らしながら、その上で適当にハミングしてみてください。何度か繰り返すうちに、耳に残るフレーズが必ず現れます。

次に、そのフレーズをボイスメモに録音します。録音したハミングに対して、「ラララ」や「ルルル」で音を確定させます。メロディの輪郭がはっきりしたら、最後にその音数に合わせて言葉を当てはめます。一気に全曲作るのではなく、まずはサビだけをこの手順で作ってみると、達成感が得られやすいです。

詞先での歌詞作成手順

詞先の場合は、まず「テーマ」を一言で決めます。「失恋の痛み」「朝の散歩の清々しさ」など、何でも構いません。次に、そのテーマに関連する単語をノートに書き出します。文章にする必要はなく、キーワードを並べるだけで十分です。

その中から光るフレーズを数行ピックアップし、声に出して読んでみてください。言葉が持つ自然なイントロやアクセントに注意しながら、そこに緩やかな高低差をつけていくと、自然とメロディの種が生まれます。そのメロディを楽器やアプリを使って音に変換し、和音を添えていくことで一曲の形になっていきます。

トラック先行の組み立て順

DTM(パソコンでの音楽制作)をする方に多いのが、ドラムとベースから作るトラック先行です。まず、ノリの良いリズムパターンを作成し、そこにベースラインを重ねて「グルーヴ」を完成させます。この土台がしっかりしていると、その上で何を弾いてもかっこよく聞こえるようになります。

トラックが完成したら、その音を流しながらマイクを持って自由に歌ってみましょう。言葉を意識せず、楽器の一部になったような感覚で声を出すのがコツです。偶然生まれた「いい感じの節回し」を整理してメロディにし、最後に歌詞を書き込みます。ダンス系やファンク系の曲を作りたい時には、この方法が最も失敗が少ないです。

鼻歌を形にする手順

楽器が弾けなくても、鼻歌から曲を作ることは可能です。歩いている時やシャワーを浴びている時にふと浮かんだメロディを、すぐにスマホのボイスメモに吹き込みましょう。この「欠片(かけら)」がすべての始まりになります。

録音した鼻歌を聴き返し、それがどのような感情を表しているかを考えます。楽しい曲なら明るい言葉を、切ない曲ならしっとりした言葉をメモした録音に乗せていきます。伴奏が作れない場合は、鼻歌をそのまま録音できるアプリや、自動で伴奏をつけてくれるソフトを利用すると、あっという間に本格的な楽曲に成長させることができます。

コード先での和音決め方

「曲先」の一種ですが、特定のコード進行を先に決めてしまう方法です。例えば「王道進行(F-G-Em-Am)」や「カノン進行(C-G-Am-Em-F-C-F-G)」など、世の中にはヒット曲が多用する進行がたくさんあります。

これらの進行を楽器で鳴らし続け、その響きに身を任せてみてください。コードが変わる瞬間に、自分の心がどう動くかを感じ取ることが大切です。コードが暗くなればメロディを下げ、明るくなれば上げる。この物理的な反応を音にしていくことで、音楽的に安定した心地よい曲が生まれます。

仮歌での確認ポイント

メロディと歌詞がある程度揃ったら、一度「仮歌」として録音して客観的に聴いてみましょう。この時のチェックポイントは、「言葉が詰まりすぎていないか」「息継ぎ(ブレス)の場所はあるか」「高い音が苦しそうでないか」の3点です。

自分で歌ってみて違和感がある場所は、聴いている人も違和感を覚える場所です。歌詞を少し削ったり、メロディの音程を少し下げたりして、スムーズに流れるように微調整します。仮歌の段階でブラッシュアップを重ねることで、最終的な完成度が劇的に向上します。

修正と完成判定の基準

いつまでも修正を繰り返して、なかなか完成しないのは初心者が陥りやすい罠です。自分なりの「完成基準」を設けましょう。例えば「サビから最後まで通して歌えるようになったら完成」「デモ音源を誰か一人に聴いてもらったら完成」などです。

完璧主義を捨て、まずは一曲を形にすることを最優先してください。修正したい点は次の曲で活かせば良いのです。一曲完成させるたびに、あなたの作詞作曲スキルは飛躍的に向上します。「今の自分にできる精一杯」を詰め込んだら、胸を張って完成を宣言しましょう。

制作の出発点は目的と環境で決まる

作詞と作曲、どちらを先に始めるべきかに唯一の答えはありません。メッセージを届けたい時は詞先、サウンドを楽しみたい時は曲先といったように、その時の目的や自分の得意不得意に合わせて選ぶのがベストです。

大切なのは、順番にこだわりすぎて手が止まってしまうことではなく、まずは音を出し、言葉を紡ぎ始めることです。何度も曲を作るうちに、自分にとっての「しっくりくる順番」が自然と見えてきます。この記事を参考に、まずは一曲、あなたの想いを形にしてみてください。新しい音楽の世界が、そこから広がっていくはずです。“`

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この記事を書いた人

バンドや音楽活動が、日常を少し楽しくしてくれる存在だと思っています。
ジャンルや楽器、活動の仕方を眺めているだけでも、世界が広がる感じが好きです。
このブログでは、音楽を始めたい人向けに、選び方や考え方を分かりやすくまとめています。ステージに立つ日も、部屋で音を鳴らす時間も、どちらも楽しい未来になりそうですね。

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